F-2 という戦闘機 — 諸元と成り立ち

更新 2026.08.28 — 読了 8分

主翼は F-16 より 25% 広く、素材も作り方も違います。世界で最初に AESA レーダーを実用化した戦闘機でもある。公開資料でたどる F-2 の成り立ちと、このゲームが再現している数値。

このゲームに出てくる機体は、最初から最後まで F-2 の 1 機種だけです。空母もあれば渓谷もありますが、飛ぶのは常に同じ機体です。

その F-2 がどういう飛行機なのかを、公開されている資料の範囲でまとめます。最後に、このゲームの中の F-2 が実際に何 t で、何 km/h で失速する機体なのかも並べます。

1. FS-X — 国産にするか、既存機を直すか

F-2 の出発点は、1982 年に始まった FS-X(次期支援戦闘機)の構想です。三菱 F-1 の後継として、対艦攻撃を主任務とする機体を何にするか、という話でした。

国内開発案と既存機改造案が争い、決着は 1987 年 10 月。F-16C/D を母機とした日米共同開発になりました。主契約は三菱重工業、米側の協力企業はゼネラル・ダイナミクス社です(同社の戦闘機部門は 1993 年にロッキードへ移り、現在のロッキード・マーティンになります。F-2 の開発は、その移管をまたいで進みました)。

「バイパーゼロ」「平成の零戦」

航空自衛隊に機体の愛称を付ける習慣は無く、F-2 にも公式な愛称はありません。一方で非公式には Viper Zero(バイパーゼロ)と呼ばれます。F-16 のパイロット間での通称「バイパー」に、制式化の年(2000 年)と零式艦上戦闘機を掛けた「ゼロ」を足したものです。「平成の零戦」という言い方も同じところから来ています。

2. 「F-16 の改造」で片付かないところ

母機が F-16 であることは事実ですが、図面の 95% 以上が変更されています。外から見て分かる違いは、まず主翼です。

F-16CF-2
主翼面積27.87 m²34.84 m²
全長約 15.0 m15.52 m
全幅約 9.5 m11.13 m(翼端ランチャー含む)

主翼面積で 25% 増。対艦ミサイルを積んで長い距離を飛ぶための拡大で、これが F-2 の飛び方をそのまま決めています。翼が広い機体は、同じ重量なら低い速度で飛べて、旋回半径が小さくなります

技術的に有名なのは、その主翼の作り方のほうです。

複座型の F-2B もあり、こちらは操縦教育に使われます(F-2 が飛ぶ基地 を参照)。

3. 諸元

公開されている主要な数値です。

項目
全長 / 全幅 / 全高15.52 m / 11.13 m / 4.96 m
主翼面積34.84 m²
空虚重量9,527 kg
最大離陸重量22,100 kg
エンジンIHI/GE F110-IHI-129 × 1
推力ドライ 75.62 kN / アフターバーナー 131.23 kN
最大速度マッハ 約 2.0
戦闘行動半径450 海里(約 830 km)
乗員1 名(F-2A)/ 2 名(F-2B)
ハードポイント11 箇所(翼端 2・翼下 8・胴体下 1)

エンジンは 1 基だけです。双発機と違ってエンジンが止まれば選択肢が無く、推力の管理がそのまま生存に直結する——これは実機の話ですが、このゲームでも同じことが起きます。

搭載できる兵装は F-2 の兵装 にまとめました。

4. このゲームの中の F-2 は、何 t の機体か

ここからはゲーム側の話です。飛行モデルは揚力・抗力を「動圧 × 係数」の形で持っていて、その係数から質量を逆算できます。実機の主翼面積 34.84 m² と海面の空気密度を入れると、答えは 12,702 kg — 約 12.7 t です。

この 12.7 t は調律の基準点です。失速 240 km/h も、進入 280 km/h も、空母のミートボールの進入角も、すべてこの 1 点の上で測ってあります。実機でいえば着陸重量の F-2 に相当する重さで、空母への進入が扱いやすいのはそのためです。

ただし、機体の重さは飛行中ずっと同じではありません。重量は「空虚重量 + 積んでいるもの + 燃料」で決まり、燃料を焼いた分だけ軽くなっていきます

基準の 12.7 t は、何でできているか

重量
空虚重量(搭乗員・装具込み)9,700 kg
翼下の搭載物(模擬弾 6 発 + 機関砲弾)690 kg
機内燃料(満タン 3,700 kg の 62%)2,312 kg
合計12,702 kg

積み方を指定していないステージは、ちょうどこの重さで出撃します。

増槽を吊るステージは 15.1 t

増槽 2 本を積むステージ(松島基地の場周と編隊飛行)では、ここに 2,420 kg(殻 180 kg + 燃料 2,240 kg)が乗ります。同じ機体が、別の飛び方をするようになります。

基準(増槽なし)増槽 2 本
出撃重量12.7 t15.1 t
失速速度(海面 1g)240 km/h262 km/h
推力重量比(MIL / AB)0.61 / 1.040.51 / 0.87

増槽は空中で投棄できます(キーボード J、ゲームパッド dpad ←)。落とせば重量はその場で基準へ戻り、失速速度は 262 → 240 km/h、推力重量比は 2 割上がります。

機体の見た目も積んでいるものを映します。翼下の 6 席にはそのステージの兵装(対空ステージでなければ模擬弾)が吊られ、増槽は積むステージにだけ付きます。投棄すれば絵からも消えます。

基準重量での性能

項目このゲームの F-2
基準出撃重量12,702 kg
失速速度(海面 1g)約 240 km/h
進入速度約 280 km/h
推力重量比0.61(ミリタリー)/ 1.04(アフターバーナー)
最高速度(海面)約 1,160 km/h / 約 1,380 km/h(AB)
上昇限度約 14,900 m / 約 17,400 m(AB)
持続旋回率14.1°/s(ミリタリー水平・470 km/h)
ロールレートコマンド 180°/s

推力もこの 12.7 t に対して決めてあります。F110 の公表推力を 12.7 t で割ると、上の推力重量比がそのまま出てきます。推力そのものは重量に依らない「力」として持っているので、重く出撃すれば推力重量比の方が下がります——実機と同じ振る舞いです。

重量は、飛び方のすべてに効く

失速速度・旋回半径・上昇率・加速は、どれも機体の重さで決まります。失速速度は重量の平方根に比例するので、増槽 2 本の 15.1 t では 240 km/h の失速が 262 km/h に上がります。最大離陸重量の 22.1 t まで積めば、同じ翼でも 317 km/h まで上がる計算です。燃料を焼けば軽くなり、増槽を落とせばさらに軽くなる——飛んでいる最中に手触りが変わるのは、この重量モデルが動いているからです。

燃料そのものの扱い(残量計・BINGO・燃料切れ)は 基本操作 にまとめました。実機との差がどこに残っているかは 失速と旋回 の後半に詳しく書いています。

5. これから

F-2 の後継は、日本・英国・イタリアの共同開発(GCAP)による次期戦闘機として計画されています。F-2 は 2030 年代から順次退役していく見込みです。

初飛行から 30 年、配備からでも四半世紀が経った機体ですが、主翼と対艦能力という一番の特徴は、いまも他機で置き換えの利かないところにあります。


出典

ゲーム側の数値は開発中のものであり、今後変わる可能性があります。

本記事は公開されている情報にもとづく解説です。