F-2 という戦闘機 — 諸元と成り立ち
主翼は F-16 より 25% 広く、素材も作り方も違います。世界で最初に AESA レーダーを実用化した戦闘機でもある。公開資料でたどる F-2 の成り立ちと、このゲームが再現している数値。
このゲームに出てくる機体は、最初から最後まで F-2 の 1 機種だけです。空母もあれば渓谷もありますが、飛ぶのは常に同じ機体です。
その F-2 がどういう飛行機なのかを、公開されている資料の範囲でまとめます。最後に、このゲームの中の F-2 が実際に何 t で、何 km/h で失速する機体なのかも並べます。
1. FS-X — 国産にするか、既存機を直すか
F-2 の出発点は、1982 年に始まった FS-X(次期支援戦闘機)の構想です。三菱 F-1 の後継として、対艦攻撃を主任務とする機体を何にするか、という話でした。
国内開発案と既存機改造案が争い、決着は 1987 年 10 月。F-16C/D を母機とした日米共同開発になりました。主契約は三菱重工業、米側の協力企業はゼネラル・ダイナミクス社です(同社の戦闘機部門は 1993 年にロッキードへ移り、現在のロッキード・マーティンになります。F-2 の開発は、その移管をまたいで進みました)。
- 試作 1 号機の初飛行 — 1995 年 10 月 7 日
- 部隊配備の開始 — 2000 年 10 月
- 最終号機の納入 — 2011 年 9 月 27 日
- 生産数 — 量産 94 機(ほかに試作 4 機)
航空自衛隊に機体の愛称を付ける習慣は無く、F-2 にも公式な愛称はありません。一方で非公式には Viper Zero(バイパーゼロ)と呼ばれます。F-16 のパイロット間での通称「バイパー」に、制式化の年(2000 年)と零式艦上戦闘機を掛けた「ゼロ」を足したものです。「平成の零戦」という言い方も同じところから来ています。
2. 「F-16 の改造」で片付かないところ
母機が F-16 であることは事実ですが、図面の 95% 以上が変更されています。外から見て分かる違いは、まず主翼です。
| F-16C | F-2 | |
|---|---|---|
| 主翼面積 | 27.87 m² | 34.84 m² |
| 全長 | 約 15.0 m | 15.52 m |
| 全幅 | 約 9.5 m | 11.13 m(翼端ランチャー含む) |
主翼面積で 25% 増。対艦ミサイルを積んで長い距離を飛ぶための拡大で、これが F-2 の飛び方をそのまま決めています。翼が広い機体は、同じ重量なら低い速度で飛べて、旋回半径が小さくなります。
技術的に有名なのは、その主翼の作り方のほうです。
- 一体成形の炭素繊維強化複合材(CFRP)主翼。 桁と外板を別々に作って留めるのではなく、一体で焼き上げる construction を実用の戦闘機で採った初期の例です。軽くなり、部品点数と接合部が減ります。
- アクティブ・フェーズドアレイ・レーダー J/APG-1。 機械的にアンテナを振らず、多数の素子で電子的にビームを向けるレーダーを実用戦闘機として世界で最初に搭載しました。後に J/APG-2 へ改修され、探知距離が大きく伸びています。
- デジタル・フライバイワイヤ。 操縦桿は舵に直結しておらず、計算機を介します。この機体の「引いた量」がそのまま舵角にならないのは、ここに理由があります。
複座型の F-2B もあり、こちらは操縦教育に使われます(F-2 が飛ぶ基地 を参照)。
3. 諸元
公開されている主要な数値です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 全長 / 全幅 / 全高 | 15.52 m / 11.13 m / 4.96 m |
| 主翼面積 | 34.84 m² |
| 空虚重量 | 9,527 kg |
| 最大離陸重量 | 22,100 kg |
| エンジン | IHI/GE F110-IHI-129 × 1 |
| 推力 | ドライ 75.62 kN / アフターバーナー 131.23 kN |
| 最大速度 | マッハ 約 2.0 |
| 戦闘行動半径 | 450 海里(約 830 km) |
| 乗員 | 1 名(F-2A)/ 2 名(F-2B) |
| ハードポイント | 11 箇所(翼端 2・翼下 8・胴体下 1) |
エンジンは 1 基だけです。双発機と違ってエンジンが止まれば選択肢が無く、推力の管理がそのまま生存に直結する——これは実機の話ですが、このゲームでも同じことが起きます。
搭載できる兵装は F-2 の兵装 にまとめました。
4. このゲームの中の F-2 は、何 t の機体か
ここからはゲーム側の話です。飛行モデルは揚力・抗力を「動圧 × 係数」の形で持っていて、その係数から質量を逆算できます。実機の主翼面積 34.84 m² と海面の空気密度を入れると、答えは 12,702 kg — 約 12.7 t です。
この 12.7 t は調律の基準点です。失速 240 km/h も、進入 280 km/h も、空母のミートボールの進入角も、すべてこの 1 点の上で測ってあります。実機でいえば着陸重量の F-2 に相当する重さで、空母への進入が扱いやすいのはそのためです。
ただし、機体の重さは飛行中ずっと同じではありません。重量は「空虚重量 + 積んでいるもの + 燃料」で決まり、燃料を焼いた分だけ軽くなっていきます。
基準の 12.7 t は、何でできているか
| 重量 | |
|---|---|
| 空虚重量(搭乗員・装具込み) | 9,700 kg |
| 翼下の搭載物(模擬弾 6 発 + 機関砲弾) | 690 kg |
| 機内燃料(満タン 3,700 kg の 62%) | 2,312 kg |
| 合計 | 12,702 kg |
積み方を指定していないステージは、ちょうどこの重さで出撃します。
増槽を吊るステージは 15.1 t
増槽 2 本を積むステージ(松島基地の場周と編隊飛行)では、ここに 2,420 kg(殻 180 kg + 燃料 2,240 kg)が乗ります。同じ機体が、別の飛び方をするようになります。
| 基準(増槽なし) | 増槽 2 本 | |
|---|---|---|
| 出撃重量 | 12.7 t | 15.1 t |
| 失速速度(海面 1g) | 240 km/h | 262 km/h |
| 推力重量比(MIL / AB) | 0.61 / 1.04 | 0.51 / 0.87 |
増槽は空中で投棄できます(キーボード J、ゲームパッド dpad ←)。落とせば重量はその場で基準へ戻り、失速速度は 262 → 240 km/h、推力重量比は 2 割上がります。
機体の見た目も積んでいるものを映します。翼下の 6 席にはそのステージの兵装(対空ステージでなければ模擬弾)が吊られ、増槽は積むステージにだけ付きます。投棄すれば絵からも消えます。
基準重量での性能
| 項目 | このゲームの F-2 |
|---|---|
| 基準出撃重量 | 12,702 kg |
| 失速速度(海面 1g) | 約 240 km/h |
| 進入速度 | 約 280 km/h |
| 推力重量比 | 0.61(ミリタリー)/ 1.04(アフターバーナー) |
| 最高速度(海面) | 約 1,160 km/h / 約 1,380 km/h(AB) |
| 上昇限度 | 約 14,900 m / 約 17,400 m(AB) |
| 持続旋回率 | 14.1°/s(ミリタリー水平・470 km/h) |
| ロール | レートコマンド 180°/s |
推力もこの 12.7 t に対して決めてあります。F110 の公表推力を 12.7 t で割ると、上の推力重量比がそのまま出てきます。推力そのものは重量に依らない「力」として持っているので、重く出撃すれば推力重量比の方が下がります——実機と同じ振る舞いです。
失速速度・旋回半径・上昇率・加速は、どれも機体の重さで決まります。失速速度は重量の平方根に比例するので、増槽 2 本の 15.1 t では 240 km/h の失速が 262 km/h に上がります。最大離陸重量の 22.1 t まで積めば、同じ翼でも 317 km/h まで上がる計算です。燃料を焼けば軽くなり、増槽を落とせばさらに軽くなる——飛んでいる最中に手触りが変わるのは、この重量モデルが動いているからです。
燃料そのものの扱い(残量計・BINGO・燃料切れ)は 基本操作 にまとめました。実機との差がどこに残っているかは 失速と旋回 の後半に詳しく書いています。
5. これから
F-2 の後継は、日本・英国・イタリアの共同開発(GCAP)による次期戦闘機として計画されています。F-2 は 2030 年代から順次退役していく見込みです。
初飛行から 30 年、配備からでも四半世紀が経った機体ですが、主翼と対艦能力という一番の特徴は、いまも他機で置き換えの利かないところにあります。
出典
ゲーム側の数値は開発中のものであり、今後変わる可能性があります。
本記事は公開されている情報にもとづく解説です。